후리가나로 읽는 일본 고전
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とちにかえる
土地に還る
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 土地に還る(とちにかえる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,523자 · 22화면
その時、表から台所口とは反対にそこの縁側の方へ通ずる、路地とも庭ともつかない空地に、かすかに人の気配がして、八手と檜葉との小さな植込のそばに、ぼっと人影が現われました。たしかに蒼ざめてると思えるへんに白い顔に、眼が大きく見据えられ、首をすっと伸し、右肩を少しく落しかげんにして、襟をきっと合わせた黒っぽい着物の胸から下は、夕闇にとけこんでいて……なにか亡霊にも似た、それが、田中正子でした。
直吉は顔をあげ、坪谷は口を噤み、二人ともその方を見やりました。正子もじっと二人の方を見やりました。彼女がそこへふいにやって来ることは、近所同士のこととて不思議ではありませんでしたが、その時はなにか妙な工合で、二人ともちょっと口が利けませんでした。
四五秒たちました。正子はゆらりと上体を動かしました。
「御免下さい。兄さんが来てるかと思いまして……。」
その兄さんのことも、どうでもよいような調子でしたが、坪谷はあわてて口を利きだしました。
「あ、兄さんですか。おいでになりませんが……まあお上りなさい。さあ、どうぞ。今ね、配給の焼酎をやってるところですが……。」
彼は殆んど相手なしに饒舌っていました。