후리가나로 읽는 일본 고전
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つぼたじょうじのあじ
坪田譲治の味
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 坪田譲治の味(つぼたじょうじのあじ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,124자 · 11화면
このような作家、――否、作家といわず、このような人間を、われわれは、もはや日本人の中に見出すことはできないであろう。私の記憶の中にある坪田君は、いつでも黒い外套を着て、黒いソフトを被っている。両手を外套のポケットに突込んで立っている姿は、唯、すっきりしているだけではなく、何となく逞しかった。逞しいといえば、子供を愛し、人生を愛することにおいて彼は何人の追随もゆるさぬような逞しさを持っているといえるかも知れぬ。数年前、私が久しぶりで郷里の吉良郷へ帰ったとき、その数カ月前に、一人の見知らぬ訪問者のあったことを村の人たちから聞いた。六十ちかい高齢の人であったが、動作は若々しく、私の昔の家のあとや、菩提寺を訪ね、人生劇場の情景に出て来そうな土地を半日歩きまわって帰っていったという。案内したのは村役場の吏員であったが、その人は番茶を一杯啜っただけで、名前も告げずに立ち去ったというのである。時たま、吉良郷へ、そういう旅びとの立ち寄ることがないわけでもない。私は、その後、偶然、人の眼につかぬ、ある雑誌に、「作家の故郷」という題で坪田君が執筆しているのを眼にとめ、読むにつれて、そのときの訪問者が坪田君であることをはじめて知った。