후리가나로 읽는 일본 고전
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면
ふと女は忙しそうに立去って行った。彼も呼び留めようとはしなかった。
そのビルの一室が開けてもらえるかどうかはっきりしなかったが、彼の全財産を積んで一台のリヤカーはもうその建物の前に停っていた。彼は運送屋と一緒にそのビルの扉を押して、事務室らしい奥の方へ声をかけた。濛々と煙るその煙のなかに人間の顔がぐらぐら揺いだ。彼の前に出て来た小柄の老人は冷然と彼を見下して云った。
「部屋なんか開ける約束になっていない」
彼はドキリとした。とにかくKに逢ってみれば解ることだが、荷物だけでもここへ置かしてもらわねば、差当って他へ持って行ける所もなかった。
「それなら土間のところへ勝手に置きなさい」
夜具と行李とトランクが土間に放り出されると、彼はとにかく往来へ出て行った。忽ち揺れ返る空間が大きくなっていた。鉈を振るって彼の手首を断ち切ろうとするのが、先刻の老人のようにおもえたりする。ふらふら歩いて行くうち、ふと彼は知人のKが弁護士らしい男と連れだっているのに出喰わした。Kはその所有しているビルを他に貸していたが、その半分を自分の側に開け渡さすため前々から交渉に交渉を重ねていた。