일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면

아오조라 문고

横川駅はわずかに乗り降りのホームを残しているだけであった。そして、汽車は更に激しい壊滅区域に這入って行った。はじめてここを通過する旅客はただただ驚きの目を瞠るのであったが、私にとってはあの日の余燼がまだすぐそこに感じられるのであった。汽車は鉄橋にかかり、常盤橋が見えて来た。焼爛れた岸をめぐって、黒焦の巨木は天を引掻こうとしているし、涯てしもない燃えがらの塊は蜿蜒と起伏している。私はあの日、ここの河原で、言語に絶する人間の苦悩を見せつけられたのだが、だが、今、川の水は静かに澄んで流れているのだ。そして、欄干の吹飛ばされた橋の上を、生きのびた人々が今ぞろぞろと歩いている。饒津公園を過ぎて、東練兵場の焼野が見え、小高いところに東照宮の石の階段が、何かぞっとする悪夢の断片のように閃いて見えた。つぎつぎに死んでゆく夥しい負傷者の中にまじって、私はあの境内で野宿したのだった。あの、まっ黒の記憶は向うに見える石段にまざまざと刻みつけられてあるようだ。

広島駅で下車すると、私は宇品行のバスの行列に加わっていた。宇品から汽船で尾道へ出れば、尾道から汽車で本郷に行けるのだが、汽船があるものかどうかも宇品まで行って確かめてみなければ判らない。