후리가나로 읽는 일본 고전
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
原 民喜의 夏の花・心願の国(なつのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 152,816자 · 310화면
低い軒の狭い家はすぐ往来から蚊帳の灯がじかに見透かされる。あのような場所に人は棲んでいて、今、彼の眼に映ることが、それだけのことが彼には不思議そのものであり微かに嗟嘆をともなった。だが、往来は彼の心象と何の関りもなく存在していたし、灯の賑わう街の方へ入ると、そこへよく買物に出掛ける妻は、勝手知った案内人のようにいそいそと歩いた。
彼はいつも外に出ると病後の散歩のような気持がした。海岸の方へ降る路で、ふと何だかわからないが、優しい雑草のにおいを感じると、幼年時代の爽やかな記憶がすぐ甦りそうになった。だが、どうかすると、彼にはこの地球全体が得態の知れない病苦に満ち満ちた夢魔のようにおもえる。……幾日も雨の訪れない息苦しさがあるとき彼をぐったりさせていた。
「少し外へ出てみましょうか」
妻は夜更に彼を外に誘った。一歩家の外に出ると、白い埃をかむったトタン屋根の四五軒の平屋が、その屋根の上に乾ききった星空があった。家並が杜切れたところから、海岸へ降りる路が白く茫と浮んでいる。伸びきった空地の叢と白っぽい埃の路は星明りに悶え魘されているようだった。
その茫とした白っぽい路は古い悲しい昔から存在していて、何処までも続いているのだろうか。