후리가나로 읽는 일본 고전
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
山川 方夫의 夏の葬列(なつのそうれつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,161자 · 122화면
そして、スリルとも歓喜ともつかぬ奇妙な感動の綱渡りをかんじながら、軽業師の足つきで煙突に移ると、五メートルばかり上をのぼる山口と声を合わせて笑い、そのままある快適なリズムにのり鉄梯子をのぼりはじめた。――煙突は、屋上への出入口の四角いコンクリートの箱にくっつき、まっすぐに天にそびえている。
ぼくはすぐにその黒く染められた部分を越え、風雨にさらされてヒビのきれたあざとい素肌をむきだしにした白い上半部へとかかった。そのとき、すでに山口は頂上に達していた。
頂上は、直径一メートル強の広さしかなかった。不気味に地上から突出した暗黒の洞穴をめぐり、円周は幅二十センチほどであった。いちめんの埃と煤煙とで、ぼくらの掌は、まるで黒人兵のように指の間だけをのこして真黒に染まった。……が、しばらく焚かないためか、煤煙はそれほどでもない。山口とぼくとは並んで縁に腰を下ろすと、ぶらぶらさせた靴のかかとで、煙突の外側を二、三度蹴ってみたりもした。
「ちぇっ。海が見えるかと思ったのに」
「見えないかな」
「ちぇっ。汚ねえ街だな。戦争にゃ、敗けるもんじゃありませんね」
「うん」
平衡を失うおそろしさで、ぼくは首をめぐらせては、はるかな品川や芝浦の方角に顔を向けることすら、できなかった。