일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ゆうもやのなか

夕靄の中

山本 周五郎

山本 周五郎의 夕靄の中(ゆうもやのなか)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 9,522자 · 19화면

아오조라 문고

両手で肩を抱き緊め、頬へ頬をつけて、身もだえするように云った。熱い呼吸と抱いた手の烈しい力が、まざまざと、現実のように甦ってくる。おつやの父親は「橋場の七兵衛」という、かなり名を売った博奕打である。こっちは仕立職からぐれて、自分ではいっぱしのやくざ気取りでいた。……おつやは一人娘、想いあって、ゆくすえの約束までしたが、橋場一家にとっては、彼などは雑魚の一尾にすぎなかった。

――逃げるのはいいが苦労するぜ。

――いっしょなら、どんな苦労だって。

そして牒し合せたがぬけ出すところをみつかって、取巻かれた。

――半さん、死なないでお呉れ。

捉まったおつやの叫びが聞えた。眼の昏むような気持だった。夢中で短刀を抜き、とびかかって来た金次を、刺した。左の脇腹だった。そのぶきみな手ごたえに、胆が消えた。

――生きてて呉れ、おつや。

喚きながら逃げた。

桐生という処で一年半仕立職をしながら、おつやを呼びよせる折を待った。

――死なないでお呉れ。喉を絞るような女の絶叫が、いつも耳の奥にあった。死なないでお呉れ、半さん、死なないで。

月に一度ずつ、江戸へゆく機屋の手代に、橋場のようすを探って貰った。