후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 368,567자 · 720화면
鳴海の本宿から古鳴海と聞きましたが、その途中に海はありませんでしたか」
「さあ――途中」
米友がまたも眼を円くしました。たしかにその道程を歩んで来たには相違ないが、途中のことをたずねられると印象がゼロだ。
だが、ゼロだといえばふいになる、いやしくも眼あきであって、足で歩いて来る間に、途中の風物を見なかったということは申しわけにならない、それも一日一路のことか、或いは漆黒の闇夜ででもあれば見落しということもあるが、曇って七ツ下りではあるが、晴天白日に、地球の全陸地を合わせて三倍したほどの面積を有する海というものを見落したということは、言いわけにならない。
正直な米友が、またまた擬議狼狽してしまいました。
「海のことは気がつかなかったねえ」
「そうですか。あなたは、どちらまでいらっしゃるの」
「名古屋へ帰りてえと思うんだ」
「名古屋へ、では後へお戻りなさるんですね」
「え――」
ははあ、ここがいわゆる、鳴海のうちとすれば、名古屋へ行くのは後戻り……つまり自分というものは、宮の渡し場から、ふらふら歩きで鳴海へ来てしまったのだ。鳴海で止まったからよかったけれども、このまま方針をかえなければ江戸まで行く……たとえ一里半とはいえ、自分が逆行したことを、はじめてさとらしめられたようです。