후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 214,131자 · 423화면
お松はこの時分、徳島藩の中屋敷へ奉公をしておりました。徳島藩の中屋敷は薩州の邸とは塀一つを隔てたところにあって、お松はそこに奉公してから日もまだ浅いけれども、目上にも朋輩にも信用され可愛がられて、前に神尾の邸にいた時のような危ないことは更になし、まことに無事に暮しておりました。
この際お松は、今までにない一つの縁談をほのめかされました。この話は至極実直に持ちかけられ、そうして自分の身を落着けるには、決してためにならないところではないし、自分もまた身を落着けてから、見込んで世話した人の鑑識を裏切るようなことはないつもりだと、自信はしているけれども、お松はどうしてもそれを承諾する気にはなれませんでした。
断わるならば何と言って断わろうか知ら、それが一つの難題で、せっかくああ言ってくれる親切を無下に断わってしまえば、おたがいに気まずくなって、また自分はこのお邸を出なければならないことになるかも知れぬ、そうなるとまた落着くところに迷うかも知れぬ。お松はその晩、散々にこのことを考えてしまいました。
無事に暮らしていたけれども、兵馬のことを考えないわけにはゆきません。