후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 214,131자 · 423화면
百万長者の娘に生れたことが、この時にはお君にとって少しも羨望ではありませんでした。そうしてこの気の毒なお嬢様の身の上に心の中で同情をしながら牧場を歩いて行くうちに、ついつい、お嬢様のお家のあるところだという欅の林に近いところまで来てしまいました。もう冬と言ってもよいくらいですから欅の紅葉は、ほとんど八ヶ岳颪で吹き払われていました。木の下には黒くなった落葉が堆く落ちていました。そこへ来てお君は、ここがあのお嬢様のお家であると思って、そっと大きな欅の蔭から垣根の中をのぞいて見ました。
そこにまた庭があって、池や泉水や築山があるのが見えました。そうして縁のところに一人の男の人が腰をかけている様子であります。
「幸内、幸内」
と座敷で呼ぶのは、あのお嬢様の声。呼ばれて、縁に腰をかけているのは、自分を助けて来てくれた若い馬商人。お嬢様の方の姿は座敷の中にいて見えませんけれど、幸内の姿は垣根越しによく見ることができました。
「幸内や、お前に貸して上げるには上げるけれど、お父様に話してはいけません」
「どう致しまして、旦那様のお耳に入りますれば、お嬢様よりは、わたしがどんなに叱られるか知れません」