후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 185,112자 · 362화면
多分、月を観ているのだろうと兵馬は思いながら、その人の側を、ずっと摺り抜けて通りました。通り抜ける途端に、風を切って何物かが落ちて来ると覚えたから兵馬は、ひらりと身をかわしたけれども、口惜しいことに、かわしきれませんでした。右の肩を打たれようとしたのを、肩を開いたために、それが落ちて来て、刀の柄にのせていた手の甲を辷って、右の小指を発止と打砕きました。
「痛ッ!」
兵馬は道の側へ飛び退いて身構えて見れば、月をながめて突立っていた天蓋の人が、手に持っていた尺八を振り上げて、通り抜ける兵馬を音もなく打ち込んで来たものです。
稀代の乱暴かなと思いました。よし、それが刃でなくて尺八であったとは言いながら、これ抜打ちの辻斬とあいえらばぬ仕方です。この上もなき無礼、この上もなき狼藉です。この場合でなかったら兵馬と雖も、その分には済まされぬところを、兵馬は怺えました。砕かれた小指を握りながら、月に立っている天蓋の怪しの男の姿をながめながら、兵馬は取合わずに別れて行きました。
指の痛みを堪忍して、宇津木兵馬はその場を立去りましたけれども、かの天蓋の怪しい男を、単純な乱暴人とのみ見るわけにはゆきません。