후리가나로 읽는 일본 고전
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,195자 · 22화면
に追い込まれた筈の志津子夫人は、決然として自己保然の唯一の道を採ったのに何んの不思議があるでしょう。
志津子さんと千束守の、それまでの関係は、唯単なる友人、――最もなつかしい幼友達に過ぎなかったことも、この際申上げて置く必要があるでしょう。兎も角、志津子夫人は、すこしばかりの詭計を用いて、いよいよこの忌わしい『人形の家』を脱け出す気になったのです。
言うまでもなくこのノラは、かなり我儘な奥様だった事は違いありませんが、それでも売買結婚同様に自分を買い取った夫の、理由ない嫉妬のために殺されかけたのですから、死骸になった積りで、喜田川家を出るのに、何んのやましいことがあるでしょう。
そのためには、腹心の女中を説き落して、よく言い含めるだけで充分だったのです。欄干をこわして、綾糸の帽子と白い手巾を、展望台の下の岩鼻に投り出すことも、ささやかな準備の一つでした。そして、ほんの少しばかりの旅費だけを持って、何一つ手廻りの品も持出さずに、そっと南伊豆の別荘を脱出し、一気に北海道の奥の奥、十勝平原の隠れ家へ飛んだのです。
其処には志津子の一番親しいお友達が、早くから農園を経営して、志津子が世も家も捨てて逃込んで来るのを待って居りました。