후리가나로 읽는 일본 고전
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おくのうみ
奥の海
久生 十蘭
久生 十蘭의 奥の海(おくのうみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,005자 · 26화면
京都所司代、御式方頭取、阪田出雲の下役に堀金十郎という渡り祐筆がいた。
御儒者衆、堀玄昌の三男で、江戸にいればやすやすと御番入もできる御家人並の身分だが、のどかすぎる気質なので、荒けた東の風が肌にあわない。江戸を離れて上方へ流れだし、なんということもなく、京都に住みついてしまった。
筆なめピンコともいう、渡り祐筆の給金は三両一人扶持。これが出世すると、七両と二人扶持をもらって渡り用人になるのだが、そこまでもいかない。
泉通りにある御用所の長屋をもらい、三十になっても独身で、雇三一の気楽な境界に安着しているようだったが、天保七年の飢饉のさなかに、烏丸中納言のおん息女、知嘉姫さまという※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)たき方を手に入れ、青女房にして長屋におさめた。烏丸中納言は十年にわたる飢饉を凌ぎかね、三両と米一斗で知嘉姫を売り沽かしたという説もあるが、この縁組みを望んだのは、知嘉姫そのひとだったので、そういう事実はなかったようである。
所司代御式方というのは、堂上諸家への進上物、寒暑吉凶の見舞、奉書の取次などをつかさどる役だが、久しい以前からの慣習で、春の節句に、諸家の奥向きへ、お土産といって江戸小間物を進上するのが式例になっている。