후리가나로 읽는 일본 고전
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おんなのけっとう
女の決闘
太宰 治의 女の決闘(おんなのけっとう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,661자 · 75화면
唯一度檻房へ来た事のある牧師に当てて、書き掛けた短い手紙が一通あった。牧師は誠実に女房の霊を救おうと思って来たのか、物珍らしく思って来て見たのか、それは分からぬが、兎に角一度来たのである。この手紙は牧師の二度と来ぬように、謂わば牧師を避けるために書く積りで書き始めたものらしい。煩悶して、こんな手紙を書き掛けた女の心を、その文句が幽かに照しているのである。
「先日お出でになった時、大層御尊信なすってお出での様子で、お話になった、あのイエス・クリストのお名に掛けて、お願致します。どうぞ二度とお尋下さいますな。わたくしの申す事を御信用下さい。わたくしの考では若しイエスがまだ生きてお出でなされたなら、あなたがわたくしの所へお出でなさるのを、お遮りなさる事でしょう。昔天国の門に立たせて置かれた、あの天使のように、イエスは燃える抜身を手にお持になって、わたくしのいる檻房へ這入ろうとする人をお留なさると存じます。わたくしはこの檻房から、わたくしの逃げ出して来た、元の天国へ帰りたくありません。よしや天使が薔薇の綱をわたくしの体に巻いて引入れようとしたとて、わたくしは帰ろうとは思いません。