후리가나로 읽는 일본 고전
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おばすて
姨捨
堀 辰雄
堀 辰雄의 姨捨(おばすて)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,351자 · 20화면
程の好い心もちのした事などはこれまでついぞ出逢ったことがなかった。何かと云えばいま一人の女房を立てて、自分はいかにも控え目にしていた、そんな内端な女のそういう云い知れぬ魅力というものは何処から来るのだろうかと、男は自問自答した。もう一度で好いから、あの女と二人ぎりでしめやかな物語がして見たい。私の琵琶を聞かせたらどう聞くだろうか、――此頃になくそんな若々しい事まで男は思ったりもしていた。しかし、男は何かと公儀の重い身で多忙なうちに、その女の事も次第に忘れがちになって往った。――が、ときどき友達と酒でも酌んでいるような時に、思いがけずふいとその髣かに見たきりの女の髪の具合などがおもかげに立って来たりした、……。
その翌年の春だった。或夜、右大弁は又その一の宮に音楽のあそびに招かれて往っていた。暁がた、男は一人で庭に降り立って、ほんのりとかかった繊い月を仰ぎ仰ぎ、読経などをしながら、履音をしのばせてそぞろ歩きしていた。細殿の前には丁子の匂が夜気に強く漂っていた。男はそれへちょっと目をやりながら、遣戸の前を通り過ぎようとした時、ふいとその半開きになっていた遣戸の内側に一人の女のいるらしいけはいを捉えた。