후리가나로 읽는 일본 고전
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あんごのしんにほんちり
安吾の新日本地理
坂口 安吾의 安吾の新日本地理(あんごのしんにほんちり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 21,780자 · 43화면
マドロス宿屋の壁や寝台にしみ残った流浪者たちの無頼ながらも悟りきった謎のような独り言でも嗅ぎだしてらっしゃい。壁際によせてある毀れたイスだのヒキダシの中の誰かが捨てて行ったパイプなどが急に何か話しかけてきかせてくれることが有るかも知れないものですよ、というような話であった。
まさしく休業状態で、七十ぐらいの脚の悪いラテンともユダヤともつかないような小柄な老人が、たった一人下宿しているだけであった。私の案内されたのは、幅が二間半ぐらいに、奥の深さが五間ぐらいもあるような実に殺風景な部屋さ。途方もなく大きなダブルベッドがあって、西洋の中学生の勉強用に適当のような机があった。そして、たしかに、使用にたえないイスが一つ壁際によせてあったね。
部屋へ案内してくれたホテルの娘さんが、陶器の大きな水差しに水をいれて持ってきて、鏡の載っかってる台の上においてあった陶器の大きなカナダライのようなものの中へ、水差しの水をジャーボコボコと半分ぐらいつぎこんで立ち去った。
巴里の屋根裏の映画かなんかに、たしかに何回も見た覚えがありますよ。人を殺した男かなんかが、血だらけのナイフをこの台の上へおいて、水差しの水をジャーボコボコとこの陶器のカナダライ的なものへ半分ぐらいついで、血だらけの手をさしこむ。