후리가나로 읽는 일본 고전
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 寺田寅彦随筆集 第五巻(あひるとさる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 194,515자 · 389화면
善良なるその妻もまたあたかもこの世の中に何事も起こらなかったかのように平静な態度でこの不倫の夫を迎えたのであった。一方ではまた、突然の暴行の後に釈放された白い母鳥も、ほんのちょっとばかり取り乱した羽毛をくちばしでかいつくろって、心ばかりの身じまいをしただけで、もう何事もなかったように、これも瞬間の驚きから回復したらしい十羽のひなを引率してしずしずと池の反対の側へ泳いで行くのであった。離婚問題も慰藉料問題も鳥の世界には起こり得ないのである。
自分の到着前には雄が二羽いたそうである。その中の一羽がむやみに暴戻で他の一羽を虐待する。そのたびに今もいる鴨羽の雌は人間で言わば仲を取りなし顔とでもいったような様子でそば近く寄って行って、いつもとは少しちがった特殊な低い鳴き声を発していたそうであったが、そのうちにある日突然その暴君の雄鳥の姿が池では見られなくなったそうである。たぶん宿の廚の料理人が引致して連れて行ったものらしく、ともかくもちょうどその晩宿の本館は一団の軍人客でたいそうにぎやかであったそうである。そうしてそのときに池に残された弱虫のほうの雄が、今ではこの池の王者となり暴君となりドンファンとなっているのである。