후리가나로 읽는 일본 고전
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やまのてのこ
山の手の子
水上 滝太郎
水上 滝太郎의 山の手の子(やまのてのこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,551자 · 31화면
私はこうした丘の上に生まれた。静寂な重苦しい陰欝なこの丘の端れから狭いだらだら坂を下ると、カラリと四囲の空気は変ってせせこましい、軒の低い家ばかりの場末の町が帯のように繁華な下町の真中へと続いていた。
今も静かに眼を閉じて昔を描けば、坂の両側の小さな、つつましやかな商家がとびとびながらも瞭然と浮んで来る。赤々と禿げた、肥った翁が丸い鉄火鉢を膝子のように抱いて、睡たそうに店番をしていた唐物屋は、長崎屋と言った。そのころの人々にはまだ見馴れなかった西洋の帽子や、肩掛けや、リボンや、いろいろの派手な色彩を掛け連ねた店は子供の眼にはむしろ不可思議に映った。その店で私は、動物、植物あるいはまた滑稽人形の絵を切って湯に浮かせ、つぶつぶと紙面に汗をかくのを待って白紙に押し付けると、その獣や花や人の絵が奇麗に映る西洋押絵というものを買いに行った。
「坊ちゃん。今度はメリケンから上等舶来の押絵が参りましたよ」
と禿頭は玻璃棚からクルクルと巻いたのを出しては店先に拡げた。子供には想像もつかない遠い遠いメリケンから海を渡って来た奇妙な慰藉品を私はどんなに憧憬をもって見たろう。