후리가나로 읽는 일본 고전
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ていてんをみざるのき
帝展を見ざるの記
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 帝展を見ざるの記(ていてんをみざるのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,664자 · 16화면
明るく鮮やかであった白馬会時代を回想してみると、近年の洋画界の一面に妙に陰惨などす黒いしかもその中に一種の美しさをもったものの影が拡がって来るのを覚えるのは私ばかりではあるまい。古いドイツやスペインあたりを思わせるような空気が、最も新しい西欧芸術の香と混合してそこに一種のグロテスクに近いものが生れている。同じ事はある派の日本画についても云われる。
ロシアのバレー作家のマッシンがある人の問に答えて、「見玉え。今の世界の大立者と云えばみんなグロテスクではないか。例えばカイゼルでもチャップリンでも……」と云ったそうである。それはとにかく、グロテスク美術が自然や文明の脅威から生れるものとすれば、あらゆる意味で不安な現代日本で産み出される絵画がこういう傾向をとる事は怪しむに足らないかもしれない。今の人間が鉄と電気の文明から受ける脅威は、未開時代の蛮民が自然から受けたものに比べて「量」においても優るとも劣らぬばかりでなく「質」においても更に怖ろしいものではあるまいか。
こういう芸術上のグロテスクな傾向が、循環的に吾々の倫理思想や人生観に与える反応はどんなものであろうか。