일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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おびひろまで

帯広まで

林 芙美子

林 芙美子의 帯広まで(おびひろまで)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,656자 · 28화면

아오조라 문고

その頃の九太にとっては、乾いたような何も希望のない、一番厭な時代だったと云えるだろう。先途に何の目標もなかった。時々銀幕に眼を据えている事もあったけれど、それは理想的な悲劇や喜劇であって、九太には意味のない世界の戯画に過ぎなかった。日常が一日一善主義のような呆んやりしたもので、どんなに面白い感動があっても、九太の頭にはそれが急いで反射されなかった。楽長に谷と云う軍人あがりの男がいた。九太を愛してくれた。こゝの小舎も早晩トキオイになって行くだろう、そしたら俺とチンドン屋にでもなるさと谷は何時も笑っていたが、過労から来た神経衰弱で自分の家の二階で縊死してしまった。九太は勿論、小舎の者達まで大勢馳けつけて色々面倒を見たのであったが、谷は蘇生しなかった。楽士達は、自分達の行末を見せられた様に暗澹としたものを感じたが、中でも耐えられなかったのは九太であった。地味造りな若い細君が人のいない座敷につっ立っては呆んやりしているのに突き当ると、九太は云い様もない程それが心に浸みて来るのであった。毎日手伝いに行っている間に子供もおとなしく九太になついて慕って来た。未亡人のまさ子に向って、九太の心持ちは何時か段々恋の様なものに変っていった。