일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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おびひろまで

帯広まで

林 芙美子

林 芙美子의 帯広まで(おびひろまで)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,656자 · 28화면

아오조라 문고

ないか」伊代は腹が立って涙も出なかった。――伊代の前に並べられた四枚の拾円札が風にあおられて壁へ吹き寄せられて行った。(その頃、伊代達は映画館に近い下駄屋の二階に間借生活をしていたのである)不思議がる階下のひとたちの店先へ荷車を寄せて、九太は自分だけの荷物をどこかへ運ばせてしまった。伊代も九太も口汚く争うだけだった。「こんな金なんかいらないわよッ、そのあいぬの女に土産に持ってらっしゃいよ。下手に同情心なんか寄せられたって迷惑だわ、私は貴方と別れたって不幸じゃないんだから!」伊代が本気になって九太を睨みつけた。九太はその顔に益々心の冷えてゆく自分を感じたが、何か訳の判らぬことを云っては罵っている伊代に、九太は呆んやり涙ぐむのであった。

九太が去ってしまうと、伊代は障子の隙間から九太の歩いて行く方向を眺めていた。匂うような青葉の色が眼に写ると、伊代はまるで緑色の涙でもこぼれそうな気がしてくるのである。――階下の神さんが心配してくれても、二三日、伊代は少しも食慾がなかった。只寝たり起きたりして呆んやりしていた。こんな経験は痛すぎると思った。伊代は夢とも現ともつかず、五年も六年も経ってから、九太とどこかでめぐり逢うことを考えていた。