후리가나로 읽는 일본 고전
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 影男(かげおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 154,133자 · 310화면
かれはその探求によって得た資料に基づいて、怪奇犯罪小説を書き、一躍名をなしたのである。編集者や読者は、かれの作品を荒唐無稽な純空想の産物と考えていた。現実とはなんの関係もない作りごとと考えていた。
速水――いや、佐川春泥のほうでも、まったくの空想と見せかけるような書き方をしたのだが、事実はその大部分が現実の資料によるものであった。かれの「裏返しの人間探求」の副産物にすぎなかった。
佐川春泥の人気があがるにつれて、原稿料も増してきたから、その収入もばかにならなかったが、しかし、かれは金もうけのために書くのではなかった。隠身術による人間探求の結果を、小説の形でそれとなく世間に見せびらかすのが楽しかったのである。ゆすりのほうでばくだいな収入があったのだから、いくら高くても原稿料など問題でなかった。かれ自身の秘密をこれ見よがしに見せつけて、しかも世間のほうでは、世にもまれなる空想力の作家と思いこんでいる、そのまやかしが愉快でたまらなかったのである。
速水は三十三歳の、むちのように強靭で、しなやかなからだの、やせ型の好男子であった。だが、かれは顔面扮装術においても、俳優以上の技術を持っていたから、ほんとうの素顔はだれにも見せていなかった。