후리가나로 읽는 일본 고전
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しんりしけん
心理試験
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 心理試験(しんりしけん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,728자 · 46화면
斎藤は、一年ばかり前から、山の手のある淋しい屋敷町の素人屋に部屋を借りていた。その家の主は、官吏の未亡人で、といっても、もう六十に近い老婆だったが、亡夫の遺して行った数軒の借家から上る利益で、十分生活が出来るにも拘らず、子供を恵まれなかった彼女は、「ただもうお金がたよりだ」といって、確実な知合いに小金を貸したりして、少しずつ貯金を殖して行くのを此上もない楽しみにしていた。斎藤に部屋を貸したのも、一つは女ばかりの暮しでは不用心だからという理由もあっただろうが、一方では部屋代丈けでも、毎月の貯金額が殖えることを勘定に入れていたに相違ない。そして彼女は、今時余り聞かぬ話だけれども、守銭奴の心理は、古今東西を通じて同じものと見える、表面的な銀行預金の外に、莫大な現金を自宅のある秘密な場所へ隠しているという噂だった。
蕗屋はこの金に誘惑を感じたのだ。あのおいぼれが、そんな大金を持っているということに何の価値がある。それを俺の様な未来のある青年の学資に使用するのは、極めて合理的なことではないか。簡単に云えば、これが彼の理論だった。そこで彼は、斎藤を通じて出来る丈け老婆についての智識を得ようとした。