후리가나로 읽는 일본 고전
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いかりのむし
怒りの虫
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 怒りの虫(いかりのむし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,457자 · 24화면
そして、本当のことを言って下さい。」
木山は彼女の眼を見つめて言った。
「僕はあなたを愛しています。」
「それだけ。」
「それ以上に何がありますか。」
「あなたの仰言るのは、言葉だけですわ。」
「では、どうしたらいいんです。」
彼女は上目がちに眼を宙に据えて、内心に思いをこらしてるようだった。それは暴風の前兆のようだった。木山は炬燵布団に顔を伏せた。
≪俺がいま、彼女を抱きしめてやったら、彼女の心はすぐに和らぐだろう。然し、そのことがいったい何だ。俺自身、自分の肉体に愛想がつきてるじゃないか。彼女を抱いて寝ながら、俺は夜中によく汗をかいた。かりに、アルコールが体内にぱっと燃え立つ、そのせいだとしても、見っともなく、薄汚いじゃないか。汗の臭気ほど下等なものはない。彼女だって、汗をかくことがあるし、心臓をどきつかせる。なんてざまだ。いや、俺はもっとひどい。ふだんでさえ、ぶるぶる震える手で酒杯を持ち、頭の天辺から湯気を立て、動悸を早めてる。なんていやらしい肉体だ。お前のようなものは、もうたくさんだ。別れようじゃないか。さよならだ。お前ときっぱり訣別したら、俺はどんなにか清々するだろう。