후리가나로 읽는 일본 고전
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しそうとふうぞく
思想と風俗
戸坂 潤
戸坂 潤의 思想と風俗(しそうとふうぞく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 216,700자 · 422화면
一人の観衆としての私を以上の意味で面白がらせる映画の、その面白さは一体どこにあるか。消費生活の華かな街頭や、劇場がもつ一種の社交感が、確かに私を映画館へ導く一つの秘密(?)であることは否めない。本を読むにも退屈し、人を訪ねるにも遠慮がある、という時に、私の身体を移動させて市井の(この経済的社会的矛盾にも拘らず)活々した雑閙の内に身を投ずることは、近代人に一種の安心と自信とをさえ齎すものだ。この際比較的安い映画館は何と云っても一等大きな誘惑なのである。
だがこういう市井的な諸原因は別に改めて考察しなければならない。今はスクリーンそのものに現われる内容で、何が私を面白がらせるのかを考えて見る。と夫は何と云っても、スクリーンが視覚の官能に活動性を与えるという、一見判り切った事情につきるのである。なる程トーキーがもはや視覚だけに訴えるものでないことは忘れはしない。それに視覚と云っても今日のトーキーで充される官能は、高々平面的な形と陰影と動きとだけであって、立体もなければ色彩もない。トーキーによって映画が本質的な飛躍をなしたことも、今日のトーキー映画の視覚上の大きな制限も知らないではないが、にも拘らず今日の映画は、すでにそして何より、視覚の官能を満足させる。