후리가나로 읽는 일본 고전
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
国枝 史郎의 怪しの館 短編(あやしのやかた)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 81,915자 · 165화면
麟太郎の心に余裕が出来た。彼は穏かに微笑して訓すような口調でこう云った。
「諸君の身上はお察し申す。ただし、某の考えはいささか諸君とは異なってござる。江戸を開くも開かぬも皆将軍家のおためでござる。全く他に私心はござらぬ――諸君のために某計るに、東照神君の英霊の在す駿州久能山に籠もられるこそ策の上なるものと存ぜられ申す。そこにて天下を窺わせられい」
実にもと思う武士達の顔をズラリと一渡り見廻してから彼は手綱を掻い繰った。馬は粛々と歩を運ぶ。危険は瞬間に去ったのである。
彼と西郷との会見について後年彼はある人に次のようなことを語ったことがある。
「薩摩屋敷へ行って見ると、すぐに一室へ案内された。しばらくすると西郷は洋服の足へ薩摩下駄を穿いて、熊次郎という僕を従え平気な顔をして現われた。庭から室へはいって来ると『先生おおきに遅刻し申した』こう云ってノッソリ座を構えたものだ。大事件を眼前に控えているようなそういった様子はどこにもない。俺も一向平気なものでしばらく雑談を交わせていたが、云うだけの事は云ってしまおうと俺は本題へはいって行った。懸河の弁を尽くしたものさ。