후리가나로 읽는 일본 고전
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
国枝 史郎의 怪しの館 短編(あやしのやかた)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 81,915자 · 165화면
彼は不思議に思いながら厨から外へ出て行った。そして老女へ近付いた。彼の眼に真っ先に映ったのは、名匠の刻んだ姥の面のような神々しい老女の顔であった。その次に彼の眼に付いたものは彼女の持っている鼓であった。漆黒の胴、飴色の皮、紫の締め緒を房々と結んだやや時代ばんだその鼓は生命ない木製の楽器とは見えず声のある微妙な生物のように彼の瞳に映ったのであった。
「ご老女」と麟太郎は呼びかけた。しかしその後はどう云ってよいか継ぎ穂に困じて黙ってしまった。すると老女は仮面のような顔をわずか綻ばして笑ったが穏かな調子でこう云った。
「どうぞあなたのお芳志をお施こしなされてくださいまし」
「容易いことです、進ぜましょう」麟太郎は袂へ手を入れたが鳥目などは一文もない。まして家の内を探したところで金のありよう筈がない。彼は当惑して赤面したが焚きかけの飯の事を思い出してにわかに元気付いて云うのであった。
「鳥目とてはござらぬが、饑饉のおりから米飯がござる。それもわずかしかござらぬによって俺の分だけ進ぜましょう」――急いで厨へ駈け込んで湯気の上がっている米飯を鉢へ移して持って来た。