후리가나로 읽는 일본 고전
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おんしゅうのかなたに
恩讐の彼方に
菊池 寛
菊池 寛의 恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,824자 · 46화면
が、市九郎の心には不退転の勇猛心がしきりに燃え盛って、ただ一念に穿ち進むほかは、何物もなかった。一分でも一寸でも、岸壁の削り取られるごとに、彼は歓喜の声を揚げた。
市九郎は、ただ一人取り残されたままに、また三年を経た。すると、里人たちの注意は、再び市九郎の上に帰りかけていた。彼らが、ほんの好奇心から、洞窟の深さを測ってみると、全長六十五間、川に面する岩壁には、採光の窓が一つ穿たれ、もはや、この大岩壁の三分の一は、主として市九郎の瘠腕によって、貫かれていることが分かった。
彼らは、再び驚異の目を見開いた。彼らは、過去の無知を恥じた。市九郎に対する尊崇の心は、再び彼らの心に復活した。やがて、寄進された十人に近い石工の槌の音が、再び市九郎のそれに和した。
また一年経った。一年の月日が経つうちに、里人たちは、いつかしら目先の遠い出費を、悔い始めていた。
寄進の人夫は、いつの間にか、一人減り二人減って、おしまいには、市九郎の槌の音のみが、洞窟の闇を、打ち震わしていた。が、そばに人がいても、いなくても、市九郎の槌の力は変らなかった。彼は、ただ機械のごとく、渾身の力を入れて槌を挙げ、渾身の力をもってこれを振り降ろした。