후리가나로 읽는 일본 고전
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おんしゅうのかなたに
恩讐の彼方に
菊池 寛
菊池 寛의 恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,824자 · 46화면
二十年にも近い間、日の光も射さぬ岩壁の奥深く、座り続けたためであろう。彼の両脚は長い端座に傷み、いつの間にか屈伸の自在を欠いていた。彼は、わずかの歩行にも杖に縋らねばならなかった。
その上、長い間、闇に座して、日光を見なかったためでもあろう。また不断に、彼の身辺に飛び散る砕けた石の砕片が、その目を傷つけたためでもあろう。彼の両目は、朦朧として光を失い、もののあいろもわきまえかねるようになっていた。
さすがに、不退転の市九郎も、身に迫る老衰を痛む心はあった。身命に対する執着はなかったけれど、中道にしてたおれることを、何よりも無念と思ったからであった。
「もう二年の辛抱じゃ」と、彼は心のうちに叫んで、身の老衰を忘れようと、懸命に槌を振うのであった。
冒しがたき大自然の威厳を示して、市九郎の前に立ち塞がっていた岩壁は、いつの間にか衰残の乞食僧一人の腕に貫かれて、その中腹を穿つ洞窟は、命ある者のごとく、一路その核心を貫かんとしているのであった。
四
市九郎の健康は、過度の疲労によって、痛ましく傷つけられていたが、彼にとって、それよりももっと恐ろしい敵が、彼の生命を狙っているのであった。