후리가나로 읽는 일본 고전
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あくむ
悪夢
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 悪夢(あくむ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,930자 · 32화면
また、私が間接に知ってる或る男は、自殺を決心して鉄道線路へ出かけ、暮れて間もない淡い月の光に、轢死すべき場所を見定め、汽車が来たならば飛び込もうと、傍の藪影に潜んで待っていると、足許から小さな蛇が匐い出して、線路の上をのっそりと乗り越していったので、何ということもなく気が変って、死ぬのを止してしまったことがある。
それはそれとして、私が憤ろしい眼をじっと前方に見据えて、人道の端を歩いていると、一匹の小さな仔犬が、雑閙の間にまぎれて、丸く反らした尻尾の先を打振りながら、車道の中へよたよたと下りていった。真白な毛並に赤の斑がある、円々と肥った仔犬だった。可愛いい犬だな、と思ってると、其処へ一台の自動車が疾走してきて、あっというまに、太々しい警戒喇叭の音と鋭い犬の悲鳴とが、同時に起った。そして一寸振返った運転手の、没表情な顔付をのせてる自動車は、一時ゆるめた速力をまた取返して、つつーと走り過ぎてゆき、その後にぱっと立つ油煙の中から、ふいに仔犬が飛び出してきた。飛びだしてまたも一度飛び上ったが、それからころころと転げて、なお鳴き続けながら、今度は三足で起き上って、血の滴る一本の後足を引きずって、よろけながらも案外早く、暗い路次の中へ消えていった。