후리가나로 읽는 일본 고전
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
泉 鏡花의 悪獣篇(あくじゅうへん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,715자 · 73화면
扱帯は一層しゃらどけして、褄もいとどしく崩れるのを、懶げに持て扱いつつ、忙しく肩で呼吸をしたが、
「ええ、誰も来てくれないのかねえ、私が一人でこんなに、」
と重たい髷をうしろへ振って、そのまま仰ざまに倒れそうな、身を揉んで膝で支えて、ハッとまた呼吸を吐くと、トントンと岩に当って、時々崖を洗う浪。松風が寂として、夜が更けたのに心着くほど、まだ一声も人を呼んでは見ないのであった。
「松か、」
夫人は残燈に消え残る、幻のような姿で、蚊帳の中から女中を呼んだ。
けれども、直ぐに寐入ったものの呼覚される時刻でない。
第一(松、)という、その声が、出たか、それとも、ただ呼んで見ようと心に思ったばかりであるか、それさえも現である。
「松や、」と言って、夫人は我が声に我と我が耳を傾ける。胸のあたりで、声は聞えたようであるが、口へ出たかどうか、心許ない。
まあ、口も利けなくなったのか、と情なく、心細く、焦って、ええと、片手に左右の胸を揺って、
「松や、」と、急き調子でもう一度。
(松や、)と細いのが、咽喉を放れて、縁が切れて、たよりなくどこからか、あわれに寂しく此方へ聞えて、遥か間を隔てた襖の隅で、人を呼んでいるかと疑われた。