후리가나로 읽는 일본 고전
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せきべつ
惜別
太宰 治의 惜別(せきべつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 91,984자 · 178화면
彼は、あの幻燈を見て、急に文芸に志したのでは決してなく、一言でいえば、彼は、文芸を前から好きだったのである。これは俗人の極めて凡庸な判断で、私自身さえ興覚めるくらいのものだが、しかし、私などには、どうも、そうとしか思われない。あの道は、好きでなければ、やって行けるものでないような気がする。そうして彼の、かねてからの文芸愛好の情に油をそそいで燃えあがらせた悪戯者として、あの一枚の幻燈の画片を云々するよりは、むしろ、日本の当時の青年たちの間に沸騰していた文芸熱を挙げたほうが、もっと近道なのではあるまいかとさえ私には思われる。当時の日本の文芸熱と来たら、それは大変なもので、文芸を談ぜずば人に非ず、といったような猛勢で、仙台に於ても、女学生たちは、読んでいるのかどうだかわからぬが、詩集やら小説本やらを得意そうにかかえて闊歩し、星菫派とかいうのであろう、たいてい眼鏡をかけて、いかにも神経質らしく眉をひそめて野暮ったい風俗の私たちを睨み、文士劇などもしばしば仙台の劇場で開演せられ、俗物の私も、ついにその激流に抗しかねて、藤村の新体詩などをこっそり覗いてみるというような有様で、東北の仙台でさえそのような盛観であったのだから、花の都の東京に於いてはどのようであったか。