후리가나로 읽는 일본 고전
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
山川 方夫의 愛のごとく(あいのごとく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 103,908자 · 210화면
信二は楽団員たちのルールを感じた。彼らはけっして安達の過去をいわず、安達もなにも語らなかった。レッスンのたび、けっしてスティックを握らない安達を、信二は兄の話の腱を切ったドラマーだとわかっていた。信二もそれにふれずにいた。だが、信二のそれは自分以外のものへの意識的な拒絶と習慣を守ってのことにすぎない。楽団員たちにとっては、そのようにたがいの過去や私生活にふれぬことは、ひとつの団結のための力であり、方法だった。いまは信二にもそれが快くないこともなかった。
控え室で、安達は不機嫌な顔で椅子に坐っていた。「乱暴に打つばかりが能じゃねえぞ」と、彼はひくくいった。「坊や、ちかごろお前、力を入れてたたくと、きまってヒステリイ女みたいな打ちかたをしてるぞ」「今夜は、荒れそうだね」と、荻村がのんびりしたふだんの声でいった。客のことをいっているのだと信二は思った。
荒れる気配は、たしかに濃く、いつもはけっして入ってこない士官が一人、ホールにやってきたのは次のステージの途中だった。入口に近い兵士たちがどよめき、二つに割れるのを信二は見た。透明な酒壜を片手にもち、真赤な顔をした一人の米兵が、白い歯をむき出して笑いながら入ってきた。