후리가나로 읽는 일본 고전
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あいけいでん
愛卿伝
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 愛卿伝(あいけいでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,745자 · 14화면
趙は驚いて家の中を駈け廻ったが、母親の影も愛卿の影も、その他にも人の影という影は見えなかった。
趙は茫然として中堂の中に立っていた。庭の方で鳥の声がした。それは夕陽の射した庭の樹に一羽のがきて啼いているところであった。
淋しい夕暮がきた。趙は母親と愛卿は、楊参政の麾下の掠奪に逢って、どこかへ避難しているだろうと思いだした。彼は翌日知人を訪うて精しい容子を聞くことにして、そのあたりを掃除して一夜をそこで明かした。
朝になって趙は、嘉興の東門となった春波門を出て往った。そこには紅橋があった。趙はその側へ往ったところで見覚えのある老人に往き逢った。
「おい、爺じゃないか」
それはもと使っていた僕であった。
「だ、旦那様じゃございませんか」
老人は飛びかかってきそうな容をして言った。
「ああ、俺だよ」
趙は一刻も早く母親と愛卿のことが聞きたかった。
「爺や、お前に聞きたいが、家のお母さんと家内は、どこにいるだろう、お前は知らないのか」
「旦那様は、まだ御存じがないのですか」
「知らない、どうした、お母さんと家内は、どうしたというのだ」
趙はせき込んで言った。
「旦那様、えらいことが出来ております」