일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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つきもの

憑きもの

豊島 与志雄

豊島 与志雄의 憑きもの(つきもの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,983자 · 27화면

아오조라 문고

山の湯に来て、見当が狂った。どこかに違算があったのだ。

僅か二三泊の旅の小物類にしては、少し大きすぎる鞄を、秋子はさげて来たが、その中に、和服の袷や長襦袢がはいっていた。だが帯はない。湯からあがってくると、浴衣と丹前をぬぎすて、臙脂と青とのはでな縞お召の着物に、博多織の赤い伊達巻をきゅっと巻き緊めた姿で食卓について、真正面から私の顔にじっと眼を据えた。黒目が上ずって瞳孔が拡大してるような感じの眼で、その視線は、物を視るというよりも寧ろ、物の表面にぴたりとくっつく。それが、私の顔に、皮膚に、ぴたぴたくっついてくる。

負けた、と認めざるを得ない。

「お酒、召しあがるでしょう。」

いつもの癖で、丁寧な親しみの言葉遣いだ。夫婦気取りというのではなく、自然にすらすらと出てくるのである。

「うん、飲むよ。」

たくさん飲んでやれ、という気になる。

彼女も酒は好きな方である。美しい二重瞼のふちがほんのりと赤らみ、次に頬や耳まで赤くなると、私の方に向けられるその眼眸は、私の肌に一層ぴたぴたとくっついてくる。

いきおい、酒の飲み方が速くなる。

だが、ふと杯を置いて、私は考えこんだ。