일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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あるよのたけだりんたろう

或る夜の武田麟太郎

豊島 与志雄

豊島 与志雄의 或る夜の武田麟太郎(あるよのたけだりんたろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,499자 · 8화면

아오조라 문고

いくら皮をむいても、何にも出て来ない。」

武田はまた笑った。私も笑った。朗かな笑いだった。

いくら皮をむいても何にも出て来ない、つまり、如何に裸になり真剣になっても大した仕事が生れない、と言うのは武田の卑下であって、彼は確かな芯を持っていた。私自身、いくら皮をむくつもりでも、すっかりはむけないし、大した仕事も生れ出ないことを、自ら歎じてはいたが、それでも芯についての自信はあった。だから二人とも声を揃えて、朗かに笑った……らしい。

笑ってしまえば、もうそれでよいのだが、さて、芯の問題を離れて、皮の問題だけが残ったのである。そして私達は珍らしく、文学論……というよりは作家論を初めた。

一皮むけば違った人間になる、つまり嘘かごまかしかの皮をかぶってる、そういう作家が最も下等だ、という前提のもとに、私達は仲間の文学者達を批判した。このことについて、武田は厳粛であり痛烈であり尖鋭であった。――この時の彼の意見を述べれば長くなるし、また酔余の論議なので私は充分に記憶していない。

ただ、こういう作家論を痛快にやってのけた武田自身こそ、嘘やごまかしの皮をかぶること最も少い作家であり、否殆んど皮のない作家だった。