후리가나로 읽는 일본 고전
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おうぎの
扇野
山本 周五郎
山本 周五郎의 扇野(おうぎの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,727자 · 67화면
「なぜそんなこと仰しゃるの」
「石川孝之介のためじゃないかというんだ」
「嫌いよあんな人」とおつるは首を振った、「あんな人の世話になんか誰がなるもんですか、そうじゃないの、本当にいまのうちに別れたほうがいいと思うのよ」
「別れるなんておかしいじゃないか、何年も逢い続けて、深い仲にでもなっているのならべつだが、私とおつるはまだ」
「いいえ、あたしたち逢い続けたのよ、何年も何十年も」おつるは彼の胸に顔を押しつけたまま云った、「ずっとずっと昔から逢い続けていたのよ、そうでなくって、初めからこんな気持になる筈がないわ」
ああ、と栄三郎は心の中で呟いた。おつるもやっぱりそうだったのか、――彼はおつるの肩を抱き緊め、頷いて「そうだ」と囁いた。
「そうだ、おつるの云うとおりだ、これっきり逢うのはよそう」
「その代りこれからお宿まで送らせて、ね」とおつるは顔をあげた、「上へあがらずに帰るから、いいでしょ」
「それはだめだ、山の上だし、ひどい坂を登るんだ」
「いやいや、あたしいきます、いけないって仰しゃったってついてゆくからいい」
そしてすぐに身をひるがえして歩きだした。
我儘な性分なのか、酔っているのか、それともなにか感情を隠すためか、その夜のおつるの態度は桁外れに衝動的で、栄三郎には扱いかねるようであったが、その言葉や動作には、おつる