후리가나로 읽는 일본 고전
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おしかけにょうぼう
押しかけ女房
伊藤 永之介
伊藤 永之介의 押しかけ女房(おしかけにょうぼう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,073자 · 22화면
内地にたどりついて最初の身近な人間の姿であつた。思わず胸が迫つて来て呼びかけた声を、振りむきもせず一廻りして来た秀治は、顔を上げると同時に唸つた。
「おや、佐太郎――今戻つたか、遅かつたなあ」
しかし、そのまま馬のあとを追つて背中で、
「どこに居た、今まで」
「ニユーギニヤだよ、お前はどこで負けたことを聞いた」
「北海道の帯広だよ、近いからな、直ぐ帰つて来た」
「ほー、そりや、得したなあ」
酔つたように突ツ立つている恰好はモツサリとして顔は真黒にすすけていたが、やつぱり上背のある眼鼻立のキリツとした佐太郎にちがいなかつた。
「田植済んだら、ゆつくり、一杯やろうな、同窓生集つて――」
また後でというように言いすてて、もう背中を向けて行くので、佐太郎は田圃路を歩き出したが、直ぐ次の言葉が追いかけて来た。
「初世ちや、待つているよ」
「う――なんだつて」
出しぬけで何のことかわからなかつたので、立ちどまつて聞き返した。しかし、相手はきこえぬ風に振り向きもせず作業をつづけている。で、佐太郎は再び重い編上靴を運びはじめた。
初世が待つているなんて、そんなことはあるはずがない。