후리가나로 읽는 일본 고전
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
宮本 百合子의 播州平野(ばんしゅうへいや)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 106,683자 · 214화면
――これでよし、と」
彼は大阪まで帰りつけばよいのであった。安心して、座席へもたれこみ、素人目では異常の分らない両眼をとじた。
ひろ子のこころは一途に東京に向っていた。その途中でおこって来るいろいろなこと、たとえば昨夜、見も知らない女集金人のうちへ泊めて貰ったというようなことも、大して苦にならなかった。ひろ子が一途なこころもちだから、そうであるばかりでなくその頃の日本にまともな旅行というものが無かったのであった。
列車が岡山にさしかかる前後から、沿線の風景はただごとではなくなって来た。徐行しはじめた列車の左右は広大な浸水地帯であった。既に何日間も動かない水の下になっている田圃から、一粒の実もはらんでいない稲が、白穂となって悲しく突たっていた。白穂は水面に立って、薄のように風にそよぎ、細雨に空しくゆれている。水の中に、農家が点在して見えた。それらの農家と農家との間には、小舟ででも通行するしかない水の深さに見えた。少し山よりの高みでは、重吉の家でもそうだったように家のめぐりに、ありとあらゆるべた土まびれの家財が運び出されていた。運び出されたままきょうの雨に濡れている。