후리가나로 읽는 일본 고전
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きられたさに
斬られたさに
夢野 久作
夢野 久作의 斬られたさに(きられたさに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 20,352자 · 41화면
平馬がそう云う中に、相手はいつとなく左右に離れていた。こうした稼ぎに慣れ切っているらしく、平馬が持っていた菅笠を、背後の若侍に渡す僅かな隙を見て、同時に颯と斬込んで来た。その太刀先には身動きならぬ鋭さがあった。
「……ハッ……」
と若侍が声を呑んだ。その眼の前を、平馬が撥ね上げた茶色の合羽が屏風のように遮ったが、それがバッタリと地に落ちた時、二人の浪人はモウ左右に泳いでいた。切先の間に身を飜した平馬が、一方を右袈裟に、一方を左の後袈裟にかけて一間ばかり飛び退いていた。
俯向けに横倒おしになった二つの死骸の斬口を確かめるかのように、平馬はソロソロと近付いた。それから懐紙を出して刀を拭い納めると、
「このような者に止を刺す迄も御座るまいて……」
と独言を云い云い白い笠を目当に引返して来た。
松の雫の中に立っていた若侍は、平馬に聞こえるほど深いため息をした。
「お怪我は御座いませなんだか」
「イヤ。怪我をする間合いも御座らぬ」
と笑いながら返り血一滴浴びていない全身をかえり見た。
「ありがとう存じまする。大望を持っておりまする身の、卑怯とは存じながら逃げる心底でおりましたところ、お手数をかけまして何とも……」