후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 176,911자 · 353화면
また、秀吉も大慾だが、自分も大利を占めうることもわかっている。
――が、ただここに、勝入として、立ちにくい一理由は、いまや世上にいい触らされている東西抗争の戦争名分だ。徳川方の宣伝は、はやくも秀吉をさして、
「強いて事をかまえ、旧主の遺子をのぞいて、信長公のあとを襲わんとする乱臣」
という非難を極力世上へばら撒いている。そしてそれが、かなり強く人心をとらえていることも事実だ。
道義や節操が、必ずしも大きくものをいう世でもないが、さりとて人間の善美の性や真実の姿がまったく枯れはてた世ともおもわれない。
往々、世間の大衆は、美しい犠牲心、高い良心、香りゆかしき愛情、一諾をゆがめぬ節義など――人道的光彩の発露をその実践者に見るたびに、わが事のように、絶讃し感涙し、その善行をたたえてやまない底のものを持っている。ところがまた、現世の半面には、野盗の横行やら、姦淫売色のみだらな風儀やら、良家の閨門のみだれやら、僧門の堕落やら、嘘つき上手と腕力のある者勝ちな人間のわが世の春をゆるすような暗黒面も持つのである。
庶民のうちにある矛盾は、武門のあいだにもある矛盾であり、一箇の人間、池田勝入のこころの中にも、そっくり持っているものだった。