후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 176,911자 · 353화면
使いは、家康の激怒を買って、ほうほうのていで戻って来た。その報告に、
(筑前は、家康を知らぬ)
といわれました、と使者は秀吉に語った。すると秀吉は、苦笑して、
(家康も筑前の真は分らぬのだ)
と、いった。が、このことはあまり彼の上出来とはいえない。彼もそれきり触れなかった。で、側臣でも裏面でこんな交渉が行われていたとは誰も知らなかった。
なにしても、ここ坂本におけるかれの起居は、日々繁忙をきわめていた。伊勢南尾張方面の軍司令部と、北陸東奥から南紀西国にわたる全土の外交諜報本部をかねていた。こういう機密な中枢部としては、大坂表よりも、坂本のほうが地理的にも時間的にも便であり、使者の往来も、人目立たず、四道八通の利があった。
大坂、京都は、第五列の活動がさかんである。表面、家康は東海から東北。秀吉は近畿から西国と、その勢力範囲は劃然としているように見えるが、彼の本拠地たる大坂表のうちにすら、徳川方へ気脈を通じているものは無数であろう。公卿堂上のうちにすら、暗に家康へ意をよせ、秀吉の蹉跌を待っているものが絶無ではない。
また一般人士のうちには、父母は関西に主取りしているが、子は東軍の将に仕えているのもあり、兄は義をもって、家康方に与しているが弟は大坂城と切れない縁故をもっているものもある。