후리가나로 읽는 일본 고전
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
林 芙美子의 新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 247,330자 · 497화면
遠雷のような海の音と、黒犬の唸り声は何かこわい感じだ。
「この辺に宿屋はありませんか?」
この砂浜にたった一人の人間であるこの可憐な少女に私は呼びかけてみた。
「私のうちは宿屋ではないけれど、よかったらお泊りなさい。」
何の不安もなく、その娘は私を案内してくれた。うすむらさきのなぎなたほおずきを、器用に鳴らしながら、娘は私を連れて家へ引返してくれた。
日在浜のはずれで、丁度長者町にかかった砂浜の小さな破船のような茶屋である。この茶屋の老夫婦は、気持ちよく風呂をわかしてくれたりした。こんな伸々と自然のままな姿で生きていられる世界もある。私は、都会のあの荒れた酒場の空気を思い出すさえおそろしく思った。天井には、何の魚なのか、魚の尻尾の乾いたのが張りつけてある。
この部屋の電気も暗ければこの旅の女の心も暗い。あんなに憧憬れていた裏日本の秋は見る事が出来なかったけれども、この外房州は裏日本よりも豪快な景色である。市振から親不知へかけての民家の屋根には、沢庵石のようなのが沢山置いてあった。線路の上まで白いしぶきのかかるあの蒼茫たる町、崩れた崖の上にとげとげと咲いていたあざみの花、皆、何年か前のなつかしい思い出である。