후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
矢代は見ると、小さな香取が船尾を動かし、静かに体を曲げ、何の未練気もなくさっぱりとした態度でさっさとマルセーユの陸から離れていった。
「僕も帰りたいなア。」
と船客の一人が溜息をついた。矢代も甲板に立って香取の姿が煙を流し見るまに港の外へ消えて行くのを眺めていたが、間もなく始まる上陸である。これから上陸許可証を貰い荷物の検査もすまさねばならぬ。矢代は出て行った香取の行方を見送りつつ、「じゃ、さようなら。」と胸の中で云っているときだった。
真紀子が良人らしい中年の紳士を連れて来て矢代に云った。
「これ宅でございますの。」
「そうですが、いろいろ船中ではお世話になりました。」
「いや私の方こそ御迷惑をおかけしまして有り難うございました。」
肩幅のある早坂氏が微笑を含み、鄭重な挨拶の横からまた真紀子が嬉しそうに云った。
「もしウィーンの方へでもいらっしゃることがございましたら、どうぞ、是非いらして下さいましな。」
「ありがとうございます。そのうちに、一度あちらへも廻りたいと思いますから、そのときにはお願いします。」
どことなく一抹の冷たい表情で早坂氏は礼をすると、妻の荷物の方へ去っていった。