후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
「このかた、パリでピアノをやってらした、藤尾みち子さんです。」
と塩野はまた一人の婦人を矢代の傍へ来て紹介した。藤尾という婦人の服装は、これまたどういうものか、侯爵夫人と殆ど同一の服装だった。長靴の切れ目にぴんと生えた摘まみの羽根が、一人のときは面白い風情があったのに、二人並ぶと少し鬚のように目立ったおかしさに変って来たが、それでも他の集りとは一種違った偉観となって、場中に特殊な空気を添えていた。
藤尾は侯爵夫人と交遊も深そうに見え、いつも二人が並んで話すので、自然に千鶴子は割られた形となって再び矢代と話す機会が多くなった。
「あなた、今日はどうなさるの。あたしたち今日は侯爵に御招待されてるんですけど、あなたもいらっしゃいません。」
千鶴子は人目を避ける風に棕櫚竹の葉蔭で声をひそめ矢代に訊ねた。
「しかし、それは――」
まだ誰からの音沙汰もないときに矢代も勝手な返事も出来かねた。
「いいんですのよ。あなたさえおよろしければ。」
「そういうわけにもいかないでしょう。」
「でも、御存知なの。行きましょうよ。」
何かもう侯爵と千鶴子との間に打ち合せもあるのかと一寸矢代は考えたが、しかし、今日だけはやはりまだ早すぎる懸念もあって、彼は返事を云い渋った。