후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
緑青の噴き出た樋の傍に皮の爆ぜた松の幹が逞しく、厚い甍の反りの上に枯松葉を落していた。
塩野はもう勝手を知っているらしく先に玄関を上った。花鳥を描いた衝立の後は暗かった。冷たく光った廊下を奥へ渡って行った右手の所に応接室があったが、そこには人の姿は見えず、ただ外套が幾つか置いてあるきりだった。
「君、よくここへ来るの。」
と矢代は塩野の置く外套の傍へ自分のも揃えて訊ねた。
「ああ、ここは三度ほど。――こちらの方が気楽なものだから、あの侯爵はここの方が好きなんだよ。」
と塩野は云いながらまた部屋を出て、なお廊下を奥の方へ幾つも曲った。背丈を同じにした南天の群生した中庭を渡り廊下が通っていた。実の赤くいちめんに揃った中を廊下が厳しく光り、そこを行く矢代の眼に、裏庭の広さを示す小松林の一端が、おおどかに曲った裾の美しい線を白い砂際によせていた。
矢代は塩野を先にやらせて立ち停った。そして、暫く中庭の美しさを眺めていた。彼は敷きつめられた砂の白さと南天の実の赤さから、フロウレンスのある寺院の庭を思い出したからだった。その寺院の庭は、丁度こんな清潔の方形だったが、中央にただ一本の夾竹桃がぎっしり花を咲かせ、白い築地に囲まれた静寂な空間に艶麗な慎しさを与えていた。