일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면

아오조라 문고

由吉と千鶴子の来たのもそれから間もなくだった。由吉は矢代を見つけると、この度びだけはいつもの磊落な風貌を生真面目に押し包んで悔みをのべた。

「もうしかし、あなたもまたお出かけになるころでしょう。」と矢代は由吉の外国行きの準備を訊ねてみた。

「もうマロニエも、蕾をつけ始めましたからね。」

由吉はパイプを口から放して静に沖を見ながら、暫く微笑を湛えて黙っていた。マロニエが咲くという魅力は、一瞬、青春に翅を与えたような匂いを掠めて通り過ぎた。胸に息詰まるような甘さで迫る春の香だった。

「宇佐美、もう行くこと云うなよ。」と塩野も、噴きのぼって来るものの制しきれぬ興奮で顔が乱れた。

「なかなか鴎という奴は、なまめかしい容子をするもんだね。あの飛び立つところのしなやかさはどうだ。」と由吉は反転した他人事を呟き、顎を突き出し、ひとり悦に入っていたが、「あれか、男爵の船?」と、急にパイプで碇泊している一行の巨船を指差した。

千鶴子は矢代の傍に椅子をかけると細い膝をよせ手袋を脱ぎながら、「お疲れにならない。」と低く小声で訊ねた。親しみの眼に見えて増して来た彼女の低声に、矢代も一言会葬の日の礼を云ったが、ふと、どうして自分があのヨーロッパを歩いていた間、この千鶴子と何事もなく過せたものだろうかと、我ながら俄にそんなことが理解しがたい