후리가나로 읽는 일본 고전
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ぎゃっこう
晩年
太宰 治의 晩年(ぎゃっこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,459자 · 91화면
テツさんと妻は天候について二言三言話し合った。その対話がすんで了うと、みんなは愈々手持ぶさたになった。テツさんは、窓縁につつましく並べて置いた丸い十本の指を矢鱈にかがめたり伸ばしたりしながら、ひとつ処をじっと見つめているのであった。私はそのような光景を見て居れなかったので、テツさんのところからこっそり離れて、長いプラットフオムをさまよい歩いたのである。列車の下から吐き出されるスチイムが冷い湯気となって、白々と私の足もとを這い廻っていた。
私は電気時計のあたりで立ちどまって、列車を眺めた。列車は雨ですっかり濡れて、黝く光っていた。
三輛目の三等客車の窓から、思い切り首をさしのべて五、六人の見送りの人たちへおろおろ会釈している蒼黒い顔がひとつ見えた。その頃日本では他の或る国と戦争を始めていたが、それに動員された兵士であろう。私は見るべからざるものを見たような気がして、窒息しそうに胸苦しくなった。
数年まえ私は或る思想団体にいささかでも関係を持ったことがあって、のちまもなく見映えのせぬ申しわけを立ててその団体と別れてしまったのであるが、いま、こうして兵士を眼の前に凝視し、また、恥かしめられ汚されて帰郷して行くテツさんを眺めては、私のあんな申しわけが立つ立たぬどころでないと思ったのである。