후리가나로 읽는 일본 고전
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あらの
曠野
堀 辰雄
堀 辰雄의 曠野(あらの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,315자 · 21화면
かくも荒れはてた棲み家では、奥ぶかくなどにじっとしていると、その儘何かの物のけにでも引っ張り込まれていってしまいそうな気がされて、女は怯え切り、殆ど寐られずに過ごすことが多いのだった。
或しぐれた夕方、尼は女のところに来ると、いつものように沁々と話し込んでいた。「ほんとうにいつまで昔のままのお気もちでいらっしゃるのでございましょう。」尼はことさらに歎息するように言った。「それは今のようにでもして居られますうちはまだしも、此のわたくしでも若しもの事がございましたら、どうなさるお積りなのですか。しかし、やがてそういうときの来ることは分かっています。」
女は数日まえのことを思い出した。――数日まえ、尼にその話をはじめて切り出されたとき、突然はっとして「自分はもうあのお方には逢われないのだ」と気づいたときのいまにも胸の裂けそうな思いのしたことを思い出した。あのときから女の心もちは急に弱くなった。それまでのすべての気強さは――畢竟、それはいつかは男に逢えると思っての上での気強さであった。――女はもう以前の女ではなかった。
その晩、尼は郡司の息子をその女のもとへ忍ばせてやった。