후리가나로 읽는 일본 고전
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あらの
曠野
堀 辰雄
堀 辰雄의 曠野(あらの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,315자 · 21화면
それは昔この屋形で使われていた召使いの縁者だった。そうしてその尼は此の女をかわいそうに思って、ときどき余所から貰ってくる菓子や食物などを持って来てくれた。しかしこの頃はもう女にはその日のことにも事を欠くことが多くなり出していた。――それでもなお女はそこを離れずに、何物かを待ち続けているのを止めなかった。
「あの方さえお為合せになっていて下されば、わたくしは此の儘朽ちてもいい。」
そう思うことの出来た女は、かならずしも、まだ不為合せではなかった。
男にとっては、その一二年の月日はまたたく間に過ぎた。
しかしその間、男は一日も前の妻のことを忘れたことはなかった。が、何かと宮仕が忙しかった上、あらたに通い出していた伊予の守の女の家で、懇ろに世話をせられていると、心のまめやかな男だっただけ、彼等を裏切らないためにも、男はつとめて前の妻のところからは遠ざかり、胸のうちでは気にかけながらも、音信さえ絶やしていた。
最初のうちは、それでも男は幾たびか、人目に立たないようにわざと日の暮を選んで、前の女のいる西の京の方へ往きかけた。が、朝夕通いなれた小路に近づいて来ると、急に何物かに阻まれるような心もちで、男はその儘引っ返して来た。